アストル・ピアソラ(Astor Piazzolla)作曲。
もともとは歌曲「アベマリア」として作曲されていたようですが、1984年のイタリア映画「エンリコ4世」のためにオーボエの曲として編曲されました。映画用に編曲された時のタイトルが「Tanti Anni Prima(昔々)」です。同じ映画で使用されている「オブリビオン(Oblivion)」も人気の高い曲です。
この映画はマルチェロ・マストロヤンニ主演、音楽監督をピアソラが担当という豪華なものでしたが、当時は日本未公開で近年までなかなか映像を見ることができませんでした。
落馬のショックで自分を皇帝エンリケ4世と思い込んでしまった男を主人公にした、正気と狂気が交差するような奇妙な物語は、ピアソラの音楽とも不思議と調和しています。
どこかエキセントリックな激しさを感じさせる作品の多いピアソラですが、実はこの曲のような叙情的で甘美なメロディも得意としてます。静かでシンプルなメロディながら所々にピアソラらしいドラマチックな展開も見え隠れする美しい作品で、さまざまな楽器に編曲されて演奏されています。