1903年、アンヘル・ビジョルド(Ángel Villoldo)作曲。タンゴ最初期の作品で現在でも定番として演奏されています。「チョクロ」とはとうもろこしのことで、タイトルの由来は諸説ありますが、作曲者が煮込み料理のとうもろこしが好物だったからという説が有名。
ビジョルドは多彩な人物で演劇の脚本家、サーカスの道化師、詩人、音楽教室の経営など様々な顔を持っていました。タンゴの音楽家としては、夜な夜な酒場でギター弾き語りをして人気が出たようで、ヒット曲を生み出してからはパリ公演までも行い、タンゴを世に知らしめる契機になりました。「タンゴ最初のヒットメイカー」ともいえる人物で、彼の活躍していたころから、それまではいかがわしい酒場の音楽とみなされていたタンゴが次第に一般にも広まり始めました。
エル・チョクロは息の長い名曲で、1953年にはアメリカで英語の歌詞が付けられて「キス・オブ・ファイヤ」のタイトルでも大ヒットしました。ルイ・アームストロングなども歌っていますが、これに触発された同じ名前のカクテルもありますね。