1935年、カルロス・ガルデル(Carlos Gardel)作曲、アルフレド・レペラ(Alfredo Le Pera)作詞。
タンゴ歌謡界のスターであったガルデルが自身の主演する同名映画『想いの届く日』の主題歌として作曲。
ガルデル本人がTangoではなくCancion(歌)という副題を付けたことからもうかがえるように、その甘く美しいメロディはタンゴの枠を超え、アルゼンチン歌曲の傑作として今も歌い継がれています。
世界各国であまりにも有名なため中にはタンゴであることを知らずに歌っている人も多いとか。
この曲は長く演奏され続ける不朽の名作となりましたが、ガルデル本人はこの映画のプロモーション旅行中、飛行機事故で不慮の死を遂げます。
実は映画『想いの届く日』の撮影当時、アメリカを訪れていたガルデルは、ニューヨークに住んでいた少年時代のピアソラと短い期間の親交がありました。
スペイン語が話せ、バンドネオンも披露したピアソラを気に入ったガルデルは、この映画にも端役で彼を出演させています。
ガルデルの亡くなった演奏旅行にはピアソラも誘われていたのですが、両親が学校を理由に反対したために断念。
もしこの旅行に同行していれば、ピアソラも事故に巻き込まれていたかもしれません。
その後のタンゴの歴史を大きく変えた、まさに運命のいたずらと言いたくなるようなエピソードです。
※タンゴ・グレリオではビクトル・ビジャダンゴスの編曲に基づくギターソロによって演奏されています。