1933年、ホアキン・マウリシオ・モラ(Joaquín Mauricio Mora)作曲。
モラはアルゼンチンでは珍しいアフリカ系黒人のタンゴ・ミュージシャンで、1920年代のタンゴ・ロマンサの時代から活躍しました。
幼少期から音楽の才を発揮しサンタ・チェーチリア音楽院をピアニストとして卒業しましたが、タンゴに魅せられてバンドネオンに転向し頭角を現しました。
(しかし後にバンドネオンの盗難にあい、ピアニストに戻ることになります)
代表曲のひとつである「マルガリータ・ゴティエ」は小デュマの小説『椿姫』の主人公の名前からタイトルを取っており、この有名な悲劇をテーマにした歌詞が付けられています。
語りの様な起伏に乏しいメロディラインが当時はあまり一般受けはしなかったようですが、通常のタンゴとは異なる一風変わった音楽性や和音の流れのロマンチックな美しさが評価され、むしろインストゥルメンタルの曲として盛んに演奏されるようになりました。
ちなみにヴェルディのオペラ版『椿姫』の主人公はヴィオレッタとされていますが、これはヴェルディの亡妻の名前がたまたまマルガリータだったため変更したようです。
タンゴ・グレリオではバンドネオンソロで演奏しています。