ロベルト・フィルポの代表作で1910年ごろの作品。
ボカ地区の酒場で夜通し演奏した作者が、帰宅する時の夜明けの印象に基づいて作曲されました。
遊び疲れた酔客たちと対照的に元気に出勤していく労働者たち、木々にとまる小鳥たちのさえずり(実際に特殊奏法で奏でられる)など次第に活気づいていく街の情景が描かれています。
特徴的なリズミカルな音型が彩る第1部、物憂げな旋律が奏でられる第2部、明るく活気づいた雰囲気の第3部と古典タンゴの典型の3部形式で、この時代を代表する作品と言えるでしょう。
ロベルト・フィルポは1900年代から活躍したピアニスト・作曲家・楽団リーダー。
タンゴ楽団に初めて正式にピアノを導入したことで知られており、黎明期の簡素なタンゴを進化させた最初のパイオニアの一人と言えるでしょう。
フィルポは演奏形態を変えながら古典期から黄金時代にかけてタンゴ界の重鎮として活躍し続けました。
また有名な「ラ・クンパルシータ」はヘスス・マトス・ロドリゲス作曲とされていますが、実際にはフィルポが第3部を追加するなど大幅に編曲したバージョンが広く知られています。
※タンゴ・グレリオではトリオ編成で演奏しています。