1975年、アストル・ピアソラ(Astor Piazzolla)作曲。
アニバル・トロイロは1937年に自らの楽団を結成して以来、史上最高の楽団と称えられ、タンゴの第2期黄金時代を支えたバンドネオン奏者・作曲家です。
ピアソラは18歳の時に当時最先端だったトロイロ楽団に入団、39~44年にかけて在籍していましたが、音楽上の意見の相違から脱退。ピアソラ自身は「私がアレンジをまかされて200の音を書けば、トロイロは100の音を消してしまった」とも語っていますが、脱退後もよき理解者、よき友人としてトロイロとピアソラとの交流は続き、最後まで敬愛の念を忘れなかったようです。
1975年にトロイロが亡くなった数日後、ピアソラは「トロイロ組曲」を作曲しました。
この組曲は4つの曲からなり、「バンドネオン」「シータ」「ウィスキー」「ばくち」というトロイロの愛した4つのものを表現しています。(タンゴ・グレリオは「バンドネオン」「シータ」を演奏)。
ある日ライブハウスでピアソラがこの曲を演奏していた時、故トロイロ夫人シータがやってきて、トロイロの使っていたバンドネオンを形見に手渡しました。
ピアソラとトロイロの深いつながりを感じさせるエピソードです。
※タンゴ・グレリオ第2弾CD「EPOCA PIAZZOLLANA~ピアソラの時代」収録曲